末期がんに対するマッサージ・対話

症例② 末期がん 80代 女性

1:経緯
大腸がんの手術後に在宅に戻られた。術前と違い、トイレに一人で行くことができない、食事の準備ができないなど、日常生活で様々な支障が出るようになっていた。
訪問看護やヘルパー、リハビリデイサービスへの利用が開始されるのと同時に、訪問マッサージも利用したいとのことでケアマネージャーに相談があり、当院への依頼へとつながった。

2:施術
当初、起き上がりや立ち上がりが困難な状態。寝返り動作から一緒に練習を行う。ベッドサイドでの下肢の筋力訓練やバランス訓練、歩行器を使っての歩行練習を行う。また、腸閉塞の心配があることから腹部への内臓整体を行う。
何年もの年を跨いだおつきあいとなり、加齢とともに徐々に体力が衰えてきた。亡くなられたご主人のこと、お嫁さんのこと、息子さんの事など、直接本人に言えない本心を施術の中でいろいろお話下さる。入退院を繰り返していたが、訪問マッサージの利用は、一番最後まで大切にしてくれました。

3:考察
当初の目的は日常生活動作の向上や維持であった。リハビリや循環や血行の改善などを目的に行っていた。
終末期にはこれまでの人生を総決算のように様々にお話いただく中で、施術をさせていただいた。対話の力が、内なる声を引き出してこれたのだと思う。