「鍼」を作る職人がいるのを知ってますか?

鍼灸の講習会に行ってきました。久々の講習会です。学生時代からいろんな講習会に出てきましたが、このところ全く行ってなかったので新鮮な気分でした。

その中で鍼を研ぐ実技を見させて頂きました。
現在は完全に使い捨ての鍼(ディスポ鍼)なので、鍼を手入れするなんて感覚今の鍼灸学生では得難い経験だったでしょう。古典をやる鍼灸師にとり、鍼を大事にすることはとても大事だと思います。

私が修行していた所では残念ながら鍼を研ぐことまではやってませんでしたが、鍼を作る職人、故・佐波弘統さんを思い出しました。
私は佐波さんに気に入られよく遊びに行かせてもらいました。
鍼を研いでる最中の痩せた背中に、鬼気迫る迫力を感じ感動したことが思いだされました。
よく佐波さんが「ハリ職人は魂を込めて作っている、鍼灸師は「気」を扱う仕事。一鍼一鍼魂を込めて打つべきだ」とよくおっしゃってました。

衛生観念のみが言われがちな「鍼」ですが、それを扱う人たちの精神こそ忘れてはならないものだと思います。
よく、鍼は武士の刀と同じだといわれましたが、本当に人を生かすも殺すも鍼次第。
鍼を大事にすることは鍼を打つことを大事にして、患者さんを大事にする事につながる第一歩かもしれません。
私が過去の素晴らしい精神を知る度に、身が引き締められます。

またエコロジーなんて横文字なんか使わずとも、昔の日本人は意識下ですでにエコロジーを実践していたんですね。