漂流老人ホームレス社会
ちょっと前ですが、森川すいめい氏著の「漂流老人ホームレス社会」を読み終えました。
読みやすく、また一気に引き込まれる内容でした。
私は最近「後方支援」でしか、「てのはし」の活動に参加しておりませんが、その代表の森川氏が書いた本です。
出版と同時にNHKスペシャルでも高齢者のホームレス問題を取り上げ、「てのはし」が取材に協力しております。
著書は、ホームレスになった人にスポットが当てられ、また著者がてのはしに関わったきっかけや、医師として働き始めた時期やアフリカで命の危険を感じた旅での体験などなど、掘り下げて書かれています。
著者の正義感や、かといって押しつけでなく、時に怒りの対象となりがちな立場の人への思いやりなど、随所に感じることができました。
「ホームレスへのボランティア活動」と聞くと、必ず「怠け者の為に対する偽善行為」「生活保護費の無駄」「働いてる我々の方がもっと貧しい」「途上国はもっと厳しい」「働けるのに働かない」…などなど色んな意見が続出します。
よく、考えてください。
通常の貧しいだけの人なら役所へ行って生活保護申請をします。
そうではなく、ホームレスになるというのはもっと色んな問題を抱えています。
日本社会は上記のような無知な人々によって異質な者は排除され、時には暴行・暴言を受け、路上で凍死してしまう人もいるのです。
我が国でNPOの役割はますます増大します。
日本社会は例えれば四角形です。
その四角形の中に○を入れても、四隅を隅々まで覆うことはできません。
この余ったところにスポットを当てる活動はとても重要です。
できれば、ソーシャルビジネスとして、永続できるような仕組みにしていくことも今後の課題ですが、私と同じ年齢の著者が、私と同じく、阪神大震災をきっかけに「気づき」をもらい、アフリカ・アジアを旅して精神科医になり、社会の一隅を照らす活動をしている事はとても刺激を受けました。