グレートジャーニー

今日は不意に時間が取れたので、半分行くのをあきらめていた「グレートジャーニー」展に行ってきました。(上野の国立科学博物館にて)

ご存じ関野吉晴氏の人類の発祥の歴史を、できるだけ近代的な動力を使用せずに(犬ぞり、トナカイそり、ラクダ、シーカヤック、自転車など)、南米からアフリカまでを逆にたどる旅の展示でした。

大きなテーマは自然と人間の共生。
人間が何万年もたどって来た営みは常に自然との闘いであり、共生であり、その過酷な環境を生き残る人類の知恵として「家族」が形成されます。

展示の最後には「江戸時代」の我々の生活の知恵が展示されていました。
江戸時代にとても大事な日本人の知恵が残ってるんだ、という関野氏の示唆が含まれている気がしました。

実は、関野さんの奥さんは鍼灸師なのですが、奥さんが言うに世界を回った関野さんは自分のルーツである「日本」をより知りたくなったそうです。
そして、日本人のルーツである、インドネシアルートで黒潮にのって石垣島まで手作りの船で渡ります。
なんと、木を削る鉄まで砂鉄を集め、斧やナイフを作りました。

非常にスケールが大きく、自然に対しての畏敬と感謝を持たねばと気が引き締まりました。世間をにぎわせている国境や領土の問題なんて、人類の歴史から見れば、些細なことです。

そして、自然と人間の関係性を説くことができ、伝統技術を継承する、非常に貴重な職業の一つである、鍼灸師はもっともっと情報を発信していかなきゃなりません。

また同じ建物で、江戸時代の人の「からだ」に関する展示もあり、非常に興味深く感じた1日でした。

江戸時代の肉体労働の人は筋肉が発達しすぎて、腱の付着部に偽関節ができてました。

きっと江戸時代の鍼灸師と現代の鍼灸師では、対象患者さんの質が違うでしょうね。

現代人は肉体を酷使することが無くなり、体の使い方や正しい姿勢などの継承も鍼灸師がすべき課題の一つだと思います。古武道や古武術の動きの中にも沢山ヒントがあります。

by 五味哲也